京都時代、モーネのグラフィック工芸コース2期生で通信寺子屋の記録コースにも通ってくれていた川野江美さんの切り紙が小児病院のホスピタルアートに生かされた報告です。
彼女がモーネ寺子屋を卒業した後も、かわいい動物のポストカードを協力してもらっていて、今も善通寺の四国こどもとおとなの医療センターにあるカフェのショップに並んでいます。
今回、川野さんに協力してもらった神奈川県藤沢市にある小児専門の長後(ちょうご)中央病院は、もともと動物や電車、線路などのアートが院内の壁や床に描かれていたそうですが、アーツプロジェクトの活動を知った院長先生が、より一層こども達に寄り添う新しいアートをと依頼されて、アーツプロジェクト代表の森合音さんが、川野さんの動物切り紙の明るく元気な印象の表現がプロジェクトに合うということで声を掛けてくださいました。
そのことを彼女に伝えると、最近は動物の切り紙は作っていないとのことだったので、しばらくは動物切り紙のウォーミングアップを自由にやってみて、それから企画案の物語に添ったシーン作りをしてもらうことに。
彼女はどんなリクエストも楽しげに手を動かしてくれて、いつも笑顔の彼女の人柄そのものの元気な動物たちが出来上がって、様々な分野の方も加わって小児病院のプロジェクトがスタート。
アーツプロジェクトのメンバーは、切り紙で想像の電車を、布構成家の丹羽裕美子さんは、カーテンにカラフルな輪っかのミシン刺しゅうを、フェルト作家のモンジュ・ネモの三人は、カーテンのタッセルに付ける電車を、私達モーネは、板をカットして色を塗り、マグネットを付けた電車や線路(病院の受付けで、こども達が好きな電車を選び、院内の壁に自由にくっつけて遊べる仕組みだとか)の制作を担当。
太陽と流れ星の照明は、非常勤講師で昨年行った宝塚大学の看護学科でご一緒した橋田裕司さんが制作されたもの。
アーツプロジェクトのデザイナーさんは、原画を病院内にどうレイアウトするかを考えて、壁や床に貼るシートのデータ作りを。
代表の森合音さんは、何度も神奈川にある病院の現場に通い、院長先生の想いと対話しながら、施工の方をはじめプロジェクトに関わる大勢の方にその想いを繋ぎながらの2年間を経て、今年2月にプロジェクトはようやく完了。
川野さんも仕事をしながら、たくさんの切り紙と向き合っていろんなシーンの動物切り紙を表現してくれたから、病院が絵本のような空間になったと心から感謝。
今回もまた一人ではなく、みんなで創造するデザインの豊かさと、過程の大切さ、完成して終わりではなくて、そのアートが少しずつ育ってゆく病院アートを学ぶそんな機会になりました。
>長後中央病院のプロジェクト
病院内の様子がご覧いただけます