父の切り紙

父の切り紙は、3,000枚のはがきも168冊のノートも手元に残している。

もう展示する機会は無いかなと思っていたが、『四国こどもとおとなの医療センター』で父の切り紙を生かしていただけることになった。

1階の奥にあるコンビニ横のカフェが、コロナウィルスの影響でしばらくの間お休みになり、暗くなっている空間を何かアートで工夫してほしいと申し出があったことから、ホスピタルアートディレクターの森合音さんと相談して、父の深海魚の切り紙をカフェの入口に貼れば、茶色の壁や照明を落とした空間の暗いことが逆に活かせるかもと、展示の作業に行って来た。

貼ってみると、思った以上に切り紙の魚たちが深海で泳いでいるような印象に見えた。

 

入口に父のノートも飾ってくださって、展示の作業中もコンビニに来られた医療者の方やお店の方が興味をもってくださったので、「これ、全部新聞紙と広告の紙なんですよ」と話したら、みなさん見入ってくださった。

作者が誰ということも年齢も関係なく、ただ「新聞紙でこんな魚が!」と見てくださった方が『あっ』と思う瞬間を伝えてくれる父の切り紙。

 

「黒い紙に糊をはみ出さずに貼るのって難しいのに、お父さんこんなにきれいに貼っていたんだ」と、あらためて気付いたりしながら深海魚を貼り終えて、もう展示することは無いと思っていた父の切り紙を父の生まれ故郷で展示できたことに感激した。

 

*病院内なので、展示だけを見に行くことは出来ません。